感覚的思考から脱せなかったマネージャーが、論理的思考を徹底的に鍛え抜き、組織を牽引する力強いリーダーへ成長(富士通株式会社様)

富士通株式会社

社員数:約99,000名 (2026年3月時点)
事業内容:DXサービス・ITソリューション: コンサルティング、クラウドサービス、システムインテグレーション、ソフトウェアなどの提供。ハードウェア・プロダクト: サーバやストレージシステムなどの開発・製造
住所:神奈川県川崎市

https://global.fujitsu/ja-jp

組織の劇的な拡大により、ミドルマネジメントの成長が追いつかない富士通株式会社CRO室Digital Sales Division。その状況に危機感を募らせた組織長が、一人のシニアマネージャーを個別トレーニングに送り込みました。かつては組織で起きている事象への因果関係の追及が甘く、マネージャーとしての成長の壁にぶつかっていた彼。徹底的に論理的思考を叩き込まれた約半年のセッションを経て、今では25名のマネージャー陣を力強く牽引する存在に成長していきました。トレーニングから何を学び、何を得たのか。その成長の軌跡を伺いました。

【取材対象者】
・友廣 啓爾 様(富士通株式会社 CRO室 Digital Sales Division長)
・木村 洋平 様(富士通株式会社 CRO室 Digital Sales Divisionシニアマネージャー)

350億円の商談機会を創出する“最強の営業エンジン” 富士通株式会社CRO室デジタルセールスディビジョン

富士通株式会社 CRO室 Digital Sales Division長 友廣啓爾 様:CRO室 Digital Sales Division(以下:DS Div)は、営業のデジタルシフトと新規顧客開拓を全社横断で牽引している組織であり、弊社においては営業変革(Revenue Engine)の象徴的な役割を担っています。

2020年に私が加わり、ゼロから立ち上げた部門で、本格的なスタートを切ったのは2021年のこと。背景にあるのは、富士通が全社で進める『DX企業への変革』と、それに伴う営業カルチャーの刷新でした。

それまでの富士通は、特定領域に特化した専門営業による属人的な提案が主流でした。このままでは変化の激しいDX時代に求められる『組織横断でスピーディーな価値提案』ができないという構造課題を抱えていたんです。

DS Divによる「デジタルセールス(インサイドセールス)」は、その課題に抜本的に切り込んでいくために仕組み化されたもの。スピーダ、Sales Retriever、Sansan、amptalkなどの最先端ツールも取り入れた戦略的なアプローチは、社内外で大きな注目を集め、数々の営業DXモデルとしても認知されるようになりました。立ち上げからわずか3年で『商談貢献350億円』という成果を創出でき、現在は国内外で計132名もの組織へと急成長を遂げています。

組織拡大に伴い「ミドルマネジメントの成長の壁」が表出

友廣 様:組織が30人、50人、そして100人と急激にスケールアップしていくにつれ、課題も噴出してきました。それが「情報格差」と「ミドルマネジメントの成長の壁」です。

組織の規模が大きくなればなるほど、私の声が直接一人ひとりに届かなくなり、誰かを媒介して伝えることになります。そこでどうしても「情報格差」が生じてしまう。情報の精度や真意、熱量が正しく伝わらない。また、組織が立ち上げ期から制度の整ったチームへと成熟する過程で、初期メンバーが違和感を覚えたり、急激な変化に戸惑ったりする場面も増え始めました。

どんなに評価制度やオンボーディングプログラムを綿密に設計しても、「2:6:2の法則」におけるボトム2割の課題は大きくなるばかり。組織が巨大化したからこそ発生したこの壁を打破するためには、どうすればいいか?

それは現場を指揮する「ファーストラインのマネージャー陣」を徹底的に強く、自律させることなのだと痛切に感じました。

一般的な研修では、組織課題は解決しなかった

友廣 様:ファーストラインのマネージャーを成長させるために必要なことは?と言えば、答えは明白。まずは彼らの指導者となる上位層のマネージャー陣に「ロジカルな課題抽出能力や思考力、そして関係部門や上位の役職者の協力を得て、物事を動かしていく力」を身につけさせることです。

実は、セカンドラインマネージャーのトレーニングプログラムを開始した当初、萩原さんとは別の外部トレーナーがセッションを担当していました。ただトレーニング全般を通して、論理的思考力を高めるようなプログラムがやや足りていないように感じました。

当時、私が問題視していたのは、マネージャーたちとの1on1や日々の相談において、事前に自ら論点を構造化する癖が彼らにはついておらず、感覚的なすり合わせや近況報告にとどまってしまっていたこと。一般的な研修では、そうした現場の意識や思考の甘さの深部にまで踏み込むことはできませんでした。「もう萩原さんに頼むしかない」。そう思い至り、連絡を取りました。かつてマイクロソフト時代に共に働いた彼なら、きっとこの状況を動かせるだろうと期待して。

萩原さんは、外資系コンサルティングファーム、マイクロソフト、そしてベンチャーと、ロジックが求められる環境で鍛えられています。さらに、外国人を含めバックグラウンドの違う相手を説得したり、同意や協力を得たりする場面を数多く経験しています。

だからこそ、彼が教えるロジカルシンキングは本の中のフレームワークではなく、仕事を前に進めるための実戦の技術なんです。これは褒め言葉ですが、彼は良い意味で「非常に面倒くさい男」でもある(笑)。物事に対して自分が100%腹落ちしないと絶対に動かない。しかしその“面倒くささ(=徹底的な論理へのこだわり)”こそが、ロジックの甘さを見過ごしがちなミドルマネジメントの教育に不可欠だと確信しました。

この組織には、実地経験に即して第三者の厳しい視点から論理破綻をズバズバと指摘し、適度なプレッシャーを与えてくれる伴走者が必要だと思ったのです。

「物事の表層だけを見て判断していた自分に気づいた」

CRO室 Digital Sales Divisionシニアマネージャー 木村洋平 様:当時の私は、上司である友廣さんに施策を提案しても、その背景にある「なぜそれをやるのか?」「その原因から本当にその成果が出るのか?」という因果関係の追求が甘く、何度も指摘を受けるような状態でした。自分なりに考えているつもりでも、今思えば物事の表層しか見ずに突っ走ろうとしていたんです。

だからこそ、最初のコーチングセッションで「3ヶ月後に自律したシニアマネージャーとして活動できる(=組織全体を多角的に捉えられる)こと」をゴールとして設定しました。セッションは単なる目の前の業務の「相談窓口」ではなく、論理を鍛える「道場」のようでした

そもそも社内の人間関係や利害関係がない「第三者」の萩原さんに話せる場というのは、私のようなマネージャーの立場からすると、とても使い勝手がよかった。まだ検討段階のアイデアとか、なんとかして組織を動かしたいという本音をそのまま持ち込むことができました。

その中で萩原さんが一貫して私に求めたのは「今起きている事象(現状)を分解して、その真因を自分で考えろ」ということでした。1つの施策を説明する中でも「ちょっと待った。その原因から本当にその結果が起こっているのか?」「現状を分解したとき、その打ち手は正しいのか?つながっているのか?」と常に指摘されました。事象の背景を徹底的にロジックツリーのように分解していくよう、癖になるくらい指摘され続けました。これまで自分がどれだけ表層の事象に囚われて施策を進めようとしていたかを、痛感させられる時間でした

さまざまなフィードバックを受ける中で、「自分がシニアマネージャーとして本来考えなきゃいけないことって、こういうことだよな」と、ハッと気づかされました。単に目先の業務を回すだけではなく、組織全体を見渡して動かす意識が芽生え、そういう意味で視座がどんどん上がっていったのかなと感じています。実際に施策案を萩原さんの目線で分解してもらい、さらに細かく強化したものを社内に提案して、それがそのまま通ったこともあります。

これまでは友廣さんから「それって因果関係合ってる?」と指摘されていたのが、今では事前に自ら論点を組み立てて「こういう背景と理由があって、こう進めています」と根拠を持って対話できるようになりました。受動的に指示を待つのではなく、セッションを自分の仕事のために上手く使って、自ら組織を動かしていく能動的なスタイルへと変わっていった実感がありますね。

会議での発言量が3倍に。セッションを通じて得たロジカルな思考により、鋭い質問が増えた

友廣 様:まず、マネージャーが25人以上集まる会議での木村さんの発言量が3倍くらいに増えました。そして、その場での木村さんの発言や質問の質が、非常に鋭くなりましたね。おかげで、マネージャーたちの緊張感が格段に増し、会議の場が締まるようになりました。

また、以前から木村さんには「因果関係を説明しよう」と指摘し続けていたのですが、それがなかなかできなかった。トレーニングを受けてそれができるようになったことは、何よりも大きい成果ですね。

例えば現場から「なぜ?」の部分を飛ばした施策が上がってきたとき。彼が萩原さんのように鋭い切り口で突き返しているのを見て、明らかに彼のマネジメントの視座がセカンドラインマネージャー(上級管理職)のレベルに達したと感じました。しかも2ヶ月ほどで変化が見られたので、非常に早く成果が出てきたなと感じました。中の人間である私が言っても効果がなかったので、外の力を利用するという策が当たりました。

木村 様:セッションを通じて自分の中に明確なロジックの軸ができたことで、「自分が“ミニ萩原”になって、現場メンバーとマネージャーに対して芯を食ったフィードバックやアドバイスができるようなりたい」と本気で思うようになりました。萩原さんを見て、「組織を前に向かせる、成長させる人間とはこうあるべきだ」というイメージ像が明確になったと思います。

1人の目覚ましい成長を見て、すぐに対象者を拡大した

友廣 様:木村さんの目覚ましい成長、つまり「視座の引き上げ」と「論理的思考での分析・発言」という圧倒的なスキルアップの成果を受け、まずは2026年1月に組織のコアを担う2名を萩原トレーニングに投入しました。さらにその後、現場を牽引する次のマネジメントメンバー2名を加え、受講生は現時点(2026年7月)で累計6名にまで広がっています。

時系列に沿って対象者を拡大していったからこそ、このトレーニングを成功させる「受講者の共通条件」がより鮮明に見えてきました。それは「徹底的に自己開示ができる素直さ」、そして何より萩原さんのロジック追及に対峙し続ける「粘り強さ」を兼ね備えているということです。

第1号として受講した木村さんがまさにその体現者でした。彼は自分の至らない部分や上手くいっていない課題を一切隠すことなく、萩原さんの前にオープンにさらけ出しました。そして萩原さんからの徹底的なロジックの詰めに対しても、「自分の成長のためのフィードバック」として受け止める前向きな姿勢を備えていたのです。プライドが邪魔をして自分を華美に飾り立てたり、厳しい指摘を自分への攻撃と捉えて拒絶したりするようでは、一切キャリアの成長には繋がりません。自分の恥ずかしい部分に素直に向き合い、前向きに弱さをさらけ出せる人こそ、萩原さんの本質的なフィードバックをすべて栄養にして、飛躍的な成長を遂げることができるんだと思います。

仕事での自己実現や本質的な楽しさは、社内外のさまざまな人が関与して得られるものです。私は常にそのきっかけをメンバーに与えてあげたいと思っていて、今回そのチャンスを木村さんはしっかり活かしたと、嬉しく感じています。

木村 様:この実践的な学びの機会を与えてもらえたことに、非常に感謝しています。私は次の挑戦として、セッションで得たクリティカルシンキングの重要性を現場のメンバーにも落とし込むべく、次世代マネージャー候補と現マネージャー30名を対象とした「現場の課題抽出トレーニング・集合研修」を現在企画しています。

コール業務のスペシャリストになればなるほど、どうしても目の前のタスクという「点」で仕事をしてしまいがち。組織の全体課題を構造で捉えるという視点には気づきません。そこで今度は、自分が萩原さんのような役割(問いを投げかけ、論理を整理させる存在)を担い、より視野の広いマネージャー候補を育成する仕組みを作っていきたいと考えています。

自分の頭で考えて人を動かす。次世代の組織を背負い変革を牽引するリーダーたちへ

木村 様:組織をリードする役割を背負い、新しい役割を与えられて悩んでいる大企業のマネージャーや役職者の方に強くお勧めしたいです。単に上司から言われた施策を回すだけの「作業員」から脱却し、組織の課題を「芯から捉えて、自分の頭で考えて人を動かしたい」と強く願うすべての人にとって、これ以上ないビジネスのパーソナルトレーニングになるはずです。

友廣 様:現状の自分に、あるいはメンバーの成長に限界や壁を感じているリーダーです。マネージャーの本質的な仕事は、管理することではなく限られたリソースの中で「いかに人を成長させ、メンバーの自己実現を引き出せるか」に尽きます。自分の限界や壁を感じているリーダー、本気で次世代の組織を背負う人間を育てたい経営者・人事の方に、ぜひ萩原さんのトレーニングを推奨したいですね。

(注:本文中の部署名・役職などは、取材時の内容であり、現在のものとは異なる場合があります)

取材・執筆:福田 まなみ(KAMIKILE)